聴竹居

投稿者:柴敦 投稿日:2020年4月17日 カテゴリー:建築, その他

昨年の秋の事ですが、どうしても見てみたかった「聴竹居(ちょうちくきょ)」という家で一日過ごしながら隅々まで見学する機会を得ました。

この大山崎の地に立つ住宅は、建築家 藤井厚二さんの自邸で築92年。周囲の自然環境を巧みに取り入れていることから環境共生住宅の先駆者とも評される建物ですが、体験すると本で読んだ知識とは大違いで印象がガラリと変わり、なんとなく優等生的なイメージを抱いていたのに、究めて利己的で逆に親しみを覚えました。

その間取りも設備も当時の伝統や格式に捕らわれずに住まいとしての快適さを追求した結果であり、囲炉裏、かまどの時代にオール電化だった設備は電気代が月々30万ほどかかったとか(今の金額だったか当時の金額だったかは失念しましたが、どちらにしても恐ろしい)。外観は和洋折衷ですが、隅々まで検討され、素材は吟味を重ねられ、その印象はさながら茶室のように感じられました。

事前に写真撮影の誓約書を提出しないと室内は写真撮影ができません。私は誓約の上で数百枚撮りましたが公開は原則NGなのでご紹介できません。とはいえ「聴竹居」と検索すれば写真は沢山出てきます。出てくるのですが、興味のある方にはコロナ禍の後に是非見学に行っていただきたい。建築の知識がなくても現代でも違和感が少ないその間取りに92年前という時代を重ね合わせれば驚愕すること間違いなしです。

※建物は重要文化財であり見学はオフィシャルHPからの申し込み制になっています。